岩田稔希
Toshiki Iwata
厚木音楽校
2019年9月卒業
自己紹介をお願いいたします。
岩田稔希です。厚木音楽校を2019年に卒業しました。 toshikiという名前でシンガーソングライターとして活動しています。
岩田さんは音楽のコースで、在学していましたね。 音楽を好きになったり、やりたいと思うきっかけはなんだったのでしょうか?
小学校3年生の時にイルカさんに猛烈にハマったのが、始まりだと思います。イルカさんの楽曲の歌詞をノートに書いたりして、学校にそのノートを持っていって、休み時間中に眺めていました(笑)そして中学生になると、作詞作曲とアコギを独学で始めました。音楽を本格的にやりたいと思ったのは、リアーナやレディー・ガガの存在にパワーを貰えたことがあったことがきっかけです。
イルカさんが原点なんだね。リアーナやレディー・ガガから具体的にどんなパワーを貰えたのですか?
15歳の時に家にこもるようになってしまって学校も中退していて、また僕は性的少数者なのですが、そのことでも悩んだりして、どんどん塞ぎがちになってしまったんです。そんな時に、リアーナやレディー・ガガの恐れに臆することのない姿勢や、少数者の立場を肯定している人間性に物凄く感動して、部屋の中でひとり解放性を感じていました。その影響があって、僕は16歳の時から性的少数者であることを公言し始めました。ひとりの人間をここまで変えるって、凄いパワーですよね。
公言した時の周りの反応はどうでしたか?
ありがたいことにみんな特に変わらないです(笑)この学校でも、生徒さんや先生もいつも通り接してくれました。拒絶されないというだけで、僕は嬉しいので、とても感謝しています。
周りの人からの拒絶されることへの恐怖がやっぱり大きかったのでしょうか。
それは大きいですね。他人を気にせずにいこう!みたいなモードって、他人を気にしなきゃいいだけだからシンプルな理屈なのに、そこへ到達するのって難しく感じます(笑)他人に拒絶されたくないという恐れが、僕にとっては今までの中で一番大きかったといっても過言ではないほど、常々付き纏ってきたものだと思います。
そういった経験から価値観なども変わりましたか?
そうですね。本当のことはその本人にしかわからないから、表層的な部分だけでその人のことを判断しないように心がけています。いつも気丈に振る舞っている方でも、口に出せないような事情をひとつやふたつ抱えながら、学校へ行ったり働いているんだなと思います。より周りの方へのリスペクトをする気持ちが増えました。
今話していただいた時期を経て、また学校へ行こうと決めた当時の心境の変化は覚えていますか?
よし!学校へ行こう!という感じではなくて、自然と気持ちが新しい方向に向かっていきました。ある日、無意識にツイッターで音楽学校を検索していたときに、こちらの音楽校が検索に引っかかって、サイトまで見に行ったことを覚えています。
入学を決めるまでに迷いはなかったですか?
なかったです。高卒資格も取れるとも書かれていて、自分に合っていて良いのでは!と感じていました。入学まで本当にとんとん拍子だったのですが、今振り返ると、僕がサイトを見たのはこの学校が開校してまだ2ヶ月目くらいの時で前例もなく情報もほとんど出ていなかったはずなので不思議ですよね(笑)
当校ではライブハウスが教室になっていますが、実際に入学してみてそこはどう感じていましたか?
ライブハウスが教室だと知った時は、とてもワクワクしました(笑)ライブハウスって基本夜からのイベントが多いと思うんですけど、午前中から午後3時くらいまでの空いた時間を、学校として使うのは画期的だと感じます。地上にある会場なので、明るくて過ごしやすくて良かったです。また、実際にステージでライブをしたり、照明をやってみる授業もあったり、ライブハウスが校舎だからこその授業を経験できました。
全日制の学校と比べて違うところはありましたか。
少人数制なので、より丁寧に教えていただけますね。一緒に過ごす時間も長いので、先生との仲も深くなります。厚木音楽校のキャンパス長の元気さんに会うと、あの時は家族より長く一緒に過ごしてたわと度々言われるんですよね(笑)また、通信制なので年齢は関係ないというところです。音楽コースの一期生は年齢が1歳ずつ違う4人が集まって僕が一番年上でしたが、卒業後も仲良くさせてもらっています。
卒業年には「最後の約束」という曲のミュージックビデオを公開していましたが、これはどんな経緯で作りましたか。
卒業制作として形になるものを作ろうと決めたことが始まりです。MV に出演している太田黒蓮成さんも同じく一期生の生徒さんなのですが、どんな曲にしようかなと考えていたときに、僕が17才の時にサビだけ作ってあった「最後の約束」に太田黒さんが良い反応をしてくれて。この曲でMV を作りたいという方向になったので、フルで書きました。制作することが出来て良かったです。
卒業した今でも岩田さん自身に残っていることはありますか?
出会った先生や生徒さんの精神性です。先生たちの言動を間近で見る機会が多々ありましたし、生徒さんであっても、こういう所良いなあ見習いたいなって感じるところがあって、そこで得たものが今でも残っています。学校内では、お互いがお互いを尊敬しているという良い空気感がありました。
先生方からの言葉で印象に残ってることはありますか?
卒業の際にとある先生から頂いた手紙の一文に「岩田君は自分らしさというものを自分で決めつけないで、今の自分はこうなんだという迷いを含めて発信できる人だと思います。だからこそ変化を自分で止めてしまうことがないのでしょう。」と書かれていて、それが印象的で忘れられません。そういった視点で見てくださってたことにとても感動しました。
在校生と、入学を検討している皆さんにメッセージをお願いします。
僕も色んなことにチャレンジして、日々前進したいです。一緒に頑張りましょう!